とにかく、

渋峠から下っていく道々、峠にはどっさり雪が積もって、何mも続く雪の壁の間を走り抜け、完璧な冬景色で、それが標高が下がるにつれて、雪は融け、木々は芽吹き、さっきまでモノクロだった世界に急に色が映え、光る萌葱色、花は咲き、完璧な春、そしてさらには若葉が生い茂る森、これは初夏!
そんな景色をただただ車窓から眺め、ほんの数分の間に季節のうつろいを、いのちの流れを眺めて、しかもちょうど流れるのは天使たちのシーンで、これはことばにはできない、ことばにはしたくない、誰かと共有するのではなく、ひっそりとひとりで、こころの中に熱く、しまっておきたい、とおもう類いの感動だった。
書き出してはみたものの、だめだ、あれは、色だけの世界だった、とやはり感じる。