ジョン吉朗は

散歩が大好きだ。ジョンキ、さんぽ、と言うと、瞬間耳をピンとこちらに向けてビックリしたような顔をして、それから嬉しくてたまらない様子でぐるぐる回りながら吠える。嬉しすぎて耳は毛に埋もれて、尻尾は取れるんじゃないかというくらいふさふさと動く。嬉しすぎて吠えるから自分のヨダレが飛び散って鼻についててもお構いなし。
散歩ひもに付け替えるとぐいぐい引っ張る。こちらの手が痛くなるほどひっぱる。横を歩くようにしつけたのだけど、嬉しすぎて先へ先へと急ぐ。時々けん制して横に付かせるが、またすぐに鼻が前へ出る。
嬉しい、嬉しい、散歩は嬉しい、楽しい、楽しい、散歩は楽しい。先へ行きたい。早く行きたい。
ジョン吉朗は散歩が大好きで、嬉しくて急いでしまうから散歩の時間はすぐに終わってしまう。あんなに急がなければ散歩の時間はもっと長いのに、ジョン吉朗はそれに気付かない。

そんなジョン吉朗に向けた父のメッセージ。