畳と石

なんとなく、電車に揺られるのがいやになって、乗り換えの駅ではない駅で降りる。ふらふらと、バス乗り場まで歩くみちみち、い草の香りに目をやると、畳屋だった。すこし気分が晴れる。
バスに乗って、本を読んで、このところずっと読んでた本、すきな作者なのに、これはなんだか読んでていらだちをかんじたり、気が滅入るかんじで、それでも読み進めていたものを、読み終わる。読み終わって、はぁ、と思って、ふと顔をあげたら、車窓の外に、石屋だった。石屋は、同じ形に切られた石が積み上がっていたり、石というより岩があったりして、とにかく石だけを売っている、という雰囲気が潔癖なかんじがしてすきなのだ。バスはのろのろと、石屋の前を通り過ぎ、目で追う私はやはり少し、気分が晴れたのだった。