文章が喚起する

久しぶりに読む作家の本を読んでた。10年くらい前のある時期にとても読んでいた作家の本。
急激にはまって買い漁り、その後さっぱり読まなくなった。今日、図書館でその名前をみつけて、なんとなく借りた。
読んでいたら、チラッと頭をかすめるイメージが、ときどきあるのだった。そしてついに味覚を伴って、瞬間、あらわれた。それはたぶんその頃によく飲んでたお酒、ウォッカのオレンジジュース割り。スクリュードライバ、などという名称ではなく、ほんとに単純に、スミノフをコンビニで買ったオレンジジュースで割ったものを、きっと読みながらも飲んでいたのだろう。
懐かしい、思い出すのはいつも暗い部屋のイメージなのだけど、今は取り壊されたあの部屋で、私は憂鬱とともに、静かに幸福だったのだと思う。